接触皮膚炎とは
接触皮膚炎とは、刺激物質やアレルゲンが皮膚に接触することで、赤みや水ぶくれなどの湿疹が生じる病気です。一般的には「かぶれ」と呼ばれます。赤みや水ぶくれのほかにも、かゆみといった様々な症状を伴います。
接触皮膚炎は、基本的に原因物質が触れた部分だけに、症状が現れることがほとんどです。原因物質は多岐にわたり、植物や化学物質など、身の回りの様々な物質が原因になる可能性があります。接触皮膚炎を防ぐために、原因とされる物質に触れることを避けましょう。
接触皮膚炎の種類と原因
接触皮膚炎のタイプは「刺激性接触皮膚炎」「アレルギー性接触皮膚炎」「光接触皮膚炎」「全身性接触皮膚炎」の4タイプに分けられます。
刺激性接触皮膚炎
刺激性接触皮膚炎は、刺激物質が皮膚バリアの弱い部分から侵入することで起こる炎症です。
正常な皮膚の状態では、刺激物質が皮膚角層を通過することはありません。ですが、現在の生活環境においては角層が壊れてしまうケースも多く、刺激性接触皮膚炎が発症しやすい傾向にあります。
おむつかぶれ
おむつかぶれとは、おむつが触れているところにできる皮膚炎のことです。
発症の理由には、下記のような原因が挙げられます。
- 尿や便といった排泄物による汚れ
- おむつ自体のこすれ
- おしり拭きの刺激
- おむつ内の蒸れ
尿はアンモニアを含んでいるため、時間経過とともに皮膚への刺激を引き起こします。同様に、便には大腸菌が含まれており、強い刺激が皮膚へ伝わるため、短時間で赤ちゃんのお尻が赤くヒリヒリとしてきます。
また、サイズの合わないおむつを着用し続けることにより、ゴム周りが擦れてかぶれを起こすこともあります。
加えて、高温多湿の環境や通気性の悪いおむつを使用すると、蒸れが皮膚炎を引き起こす原因にもなり得ます。
アレルギー性接触
皮膚炎
アレルギー性接触皮膚炎は、特定のアレルゲンが皮膚に接触することで引き起こされます。いったんその物質に対するアレルギー反応を起こすと、微量の接触でも皮膚炎が発生するようになります。
光接触皮膚炎
光接触皮膚炎は、特定の物質が接触した皮膚に太陽などの光が照射されることで発症する皮膚炎です。
光毒性と光アレルギー(感作)性の2つに分類されます。
光毒性接触皮膚炎は物質(ソラレン、タールなど)に紫外線が当たることで、活性酸素が発生し組織が傷害されます。
光アレルギー性接触皮膚炎は免疫反応が関係しています。原因物質として、ケトプロフェンという成分を含む塗り薬や貼り薬、香料、日焼け止めなどがあります。
全身性接触皮膚炎・
接触皮膚炎症候群
接触皮膚炎を繰り返すと、接触したところだけではなく広い範囲に湿疹が発生することがあります。湿疹が現れると、全身のアレルギー症状(喘息や鼻炎など)を伴い、症状がひどくなるとアナフィラキシーショックに至ることもあるため注意が必要です。
接触皮膚炎の症状
- 赤み
- ブツブツ(丘疹)
- 水ぶくれ(小水疱)
アレルゲン物質に接触した部分とそうでない部分で、はっきりと皮膚炎の境界が分かるのが特徴です。湿布にアレルゲン物質が含まれていたケースでは、貼った箇所が湿布の形のまま四角く赤くなることがあります。
接触皮膚炎の検査方法
接触皮膚炎の治療に大切なのは、原因物質を正確に特定して接触を避けることです。
パッチテスト
根本的な治療に繋げる検査として、パッチテストが挙げられます。パッチテストとは、アレルギーの原因物質を特定するための検査のことです。原因と考えられる製品や化学物質を背中もしくは腕に貼り、その箇所の反応を確認します。なお、光接触皮膚炎を疑う際には、光パッチテストが必要です。
パッチテストでは、48時間パッチを貼り続け、剥がしたあと15分~30分後に判定を行います。さらに、試薬を貼ってから72時間後、そして1週間後に判定をすると、より確実な結果が得られるとされています。
ただし、アレルギー反応の危険性があるため、妊娠中のパッチテストは推奨されていません。
接触皮膚炎の治療
接触皮膚炎の治療には、原因物質を避けることが必要不可欠です。アレルゲンを特定できていなくても、原因物質の可能性が否定できないものは、避けた方が良いでしょう。
治療を開始する際には、まずはかぶれの原因物質を特定することが大切です。刺激物質に触れてしまった際には、石鹸でよく洗い流しましょう。また、かゆみが強くても、掻いたり触ったりしてはいけません。
仕事や家事などの関係で原因物質を避けられない場合には、手袋を着用して直接皮膚に触れないように工夫しましょう。
なお、接触皮膚炎には、ワセリンなどの保湿剤を使用したスキンケアがおすすめです。乾燥を防ぎながら皮膚のバリア機能を整えることで、接触皮膚炎の改善・予防に繋がります。
薬物療法
接触皮膚炎の治療には、炎症やかゆみをといった症状を抑えるために、ステロイド外用薬や抗アレルギー薬を使用します。また、炎症の範囲が狭い場合では、冷やしたガーゼを患部に当てて症状を和らげることも効果的です。
特に症状がひどいケースでは、ステロイド内服薬を使用することもあります。ほとんどの場合、2週間程度で症状が緩和されます。