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いぼ

いぼとは

いぼとはいぼとは、皮膚から盛り上がる小さなできものの俗称です。いぼには、様々な皮膚の病気が含まれているため、放置すると増えるいぼもあります。

いぼの種類と原因

いぼは大きく分けて、ウイルスを原因とするものと、加齢や紫外線を原因とするものの2つに分類されます。

尋常性疣贅

尋常性疣贅とは、皮膚にできた小さな傷から「ヒトパピローマウイルス(HPV-2,4,7型など)」が侵入してできるいぼのことです。なかでも、手の指や足の裏にできやすいとされています。
感染源として多いのは、プールや温泉の脱衣所や、感染している家族が使用したタオルです。発症当初は小さないぼですが、1cm程度の大きさになるケースもあり、足の裏にできると「うおのめ」と間違うこともあります。
子供に現れることの多い尋常性疣贅ですが、近年は大人でも増加傾向にあります。

伝染性軟属腫

伝染性軟属腫とは、小さな子供によく見られる「水いぼ」のことです。「伝染性軟属腫ウイルス」への感染が原因とされており、直径1~3mm程度で肌に近い色やピンク色をした小さないぼが、全身のいたるところに発生します。
直接皮膚に触れることで感染する以外に、タオルや浮き輪を介しても感染するため、保育園や幼稚園のプールで広がることもあります。
痛みやかゆみは少なく、半年から数年で自然治癒するため、様子を見ることが基本的な治療方針になります。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV-6,11型)の感染により、性器や肛門の周囲にできるいぼのことです。性感染症の1つで、オーラルセックスで口に感染するケースも見られます。
また、ヒトパピローマウイルスは100種類以上もあるとされているため、感染したウイルスの種類によって症状の現れ方も様々です。感染すると、がんのリスクが高まるウイルスも存在します。

青年性扁平疣贅

青年性扁平疣贅は、ヒトパピローマウイルス(HPV-3,10型)の感染により、米粒程度の大きさで、主に顔や手、背中、首に発生します。いぼは薄い褐色で、特に若い女性に多く見られます。

首いぼ

首すじやデコルテ部分にできるいぼは「アクロコルドン」と言われ、「スキンタッグ」や「軟性線維腫」と呼ばれることもあります。年齢だけではなく、紫外線によるダメージや摩擦、遺伝的な体質なども関わっていると考えられています。
加齢に伴って目立つ傾向にありますが、早い人では20代で発症します。肌に近い色で柔らかく、直径1㎜以下~数mmのいぼがたくさんできたり、または直径1~2cmのいぼが1つだけできたりします。基本的には良性のため問題ありませんが、気になる場合は炭酸ガスレーザーで切除するなどの治療を行います。
首いぼを予防するには、日頃から紫外線対策に気を配り、首周りに密着する服やネックレスはできるだけ控えるなど、皮膚への刺激を少なくする工夫が大事です。

脂漏性角化症

脂漏性角化症は、加齢によってできるいぼのことです。「老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)」とも呼ばれています。
皮膚の老化や紫外線の影響で、表皮が厚くなることによって発生します。顔や手の甲、胸、背中、腰にできる良性のいぼで、皮膚に近い色や茶~黒色のものが大半です。いぼの表面がザラザラしているのが特徴で、大きくなると1~2cm程度の大きさになるものもあります。
脂漏性角化症は良性のいぼのため、基本的に治療の必要はありません。ですが、顔などの目立つところにできて気になる場合には、治療によって除去することが可能です。除去方法には、「凍結療法」「外科治療」「炭酸ガスレーザー治療」などがあります。

いぼができたらやってはいけないことは?

いぼができたらやってはいけないことは?いぼができてしまったら、搔きむしったり自力で取ろうとしたりしてはいけません。傷ができてしまうと、そこから細菌が入り感染症を起こすこともあります。また、いぼが治っても色素沈着が残るリスクも高くなります。

いぼができてしまったら、保湿剤を使用して皮膚を保護しましょう。また、刺激を避けるために紫外線対策も欠かせません。根本的にいぼを治したいということでしたら、自己流のケアは避けて、医療機関で適切な治療を受けるようにしましょう。

いぼの検査方法

診察だけで診断がつくことがほとんどのため、基本的に検査は行いません。まれに、ほかの腫瘍との区別が困難な場合には、皮膚生検を実施することがあります。

いぼ除去・いぼ取り

一口にいぼといっても、種類・大きさ・数など、どの治療が適しているかは患者様ごとに異なります。そのため、当院ではいぼの治療を開始する際に、患者様ごとに適した治療方法をご提案いたします。

液体窒素による
凍結療法

凍結療法とは、マイナス196℃の液体窒素をいぼに直接当てる治療方法です。綿棒・スプレー・ピンセットなど、症状に応じた除去を行います。

尋常性疣贅や脂漏性角化症に対する治療方法として施術しており、健康保険も適用されます。治療自体は、何度でも繰り返せるという利点があり、全国的に広く活用されています。

また、日本皮膚科学会もウイルス感染によるいぼ(尋常性疣贅)の治療方法の1つとして推奨している方法です。

モノクロロ酢酸を
用いた治療

モノクロロ酢酸は、強い酸でイボ組織を腐食させることができます。刺激が少ないため、痛みに過敏な方も安心です。いぼの種類によっては、液体窒素療法よりも効果的な場合があります。
(当院では取り扱っておりません。)

内服薬

ハトムギから抽出したヨクイニンは、広くいぼ治療に用いられる漢方薬です。いぼに対する免疫力を高める効果があります。

外用薬(塗り薬)

足の裏にできるウイルス性いぼは、皮膚が分厚い特徴があり、液体窒素だけでは治療が難しいケースがあります。スピール膏(サリチル酸絆創膏)には、角質を柔らかくする効果があり、テープを使用することで効果的な治療が可能です。小さく切ったテープで固定する処置を毎日続けると、分厚くなった皮膚が白くふやけて、いぼが小さくなります。なお、スピール膏は、保険適用となります。

さらに、ビタミンD3外用薬を塗布することで、皮膚のターンオーバーを促進して、角化したいぼを柔らかくできます(保険適用外)。イミキモドクリーム外用薬(ベセルナクリーム)は、抗ウイルス薬配合外用薬として、尖圭コンジローマの治療に使用されることが多いです。

手術

局所麻酔を実施し、いぼを切除します。切除した後の傷は、軟膏を塗布して治療します。足の裏や指の皮膚が厚く、いぼの根元が深いところに入り込んでいても、ほぼ確実に除去できる方法です。

レーザー

炭酸ガスレーザーは、蒸発や蒸散を利用していぼを除去する方法です。出血がなく、切除と比較して傷跡が治りやすいという特徴があります。特に、首イボや脂漏性角化症の治療に適しています。